端場坊様インタビュー|マニュアルズ|山梨県甲府市のホームページ制作・Web制作

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manualz letterINTERVIEW.38

多様化する利用者に
自身を見つめ直す
時間と場所を

CLIENT

日蓮宗 身延山 収玄院端場坊
第50世住職

林是乾 様

端場坊様インタビュー

日蓮宗総本山久遠寺の支院の一つであり、日本仏教三大霊山の一つに数えられる身延山の東端に位置する寺院(宿坊)。武士でありながら、医術にも精通した四條金吾頼基公により、鎌倉時代に開かれてから700有余年の間、宿坊として多くの参拝者を迎え入れてきた。団体利用が減少する昨今では、修行体験や身延山案内といった寺院らしさを体験できる活動に力を入れ、日常から離れて自身を見つめ直す場所を提供し、多様化する社会ニーズに応えている。

INFORMATION


〒409-2524 山梨県南巨摩郡身延町身延3493
【TEL】0556-62-0777

https://www.habanobo.org/

始まりと終わりが交錯する身延山の最東端で、余計なものを“削ぎ落とす”。

700年以上の歴史を誇る宿坊と伺っております。まずは略歴や寺院概要についてお聞かせいただけますでしょうか

身延山には、本院である久遠寺と、31の支院があります。支院のうち20が宿坊となりますが、当寺は山内でも最も古い歴史を持つ寺院の一つです。宿坊として制度化されたのは近世初頭ですが、寺院としての端場坊は、弘安3年(1280年)、四條金吾頼基公が日蓮聖人のお側近くでお給仕するために庵を構えたのが始まりと伝えられています。当寺は「端場坊(はばのぼう)」と少し変わった読み方をしますが、これは寺院の場所が、日蓮聖人の御草庵がある西谷から最も離れている、東谷の最奥に建てられたことが由来です。また、近年では東谷からの入山ルートで訪れる方は少なくなりましたが、身延山の端に位置するこの場所は、東方面より久遠寺へ参拝する際の始まりの場所でもありました。

独特な読み方をされるお名前にはそのような由来があったのですね。熱心な檀信徒であった頼基公が開かれた寺院とのことですが、貴院の魅力はどのようなところですか?
端場坊様インタビュー

端的に申し上げると、「シンプル」なことが魅力であると考えています。というのも、文化的な価値や歴史、立派な庭園を持つ寺院と比較した場合に、質素な寺院であるといった意味合いでしょうか。仏教には、「削ぎ落す」という考え方がありますが、これは本質に向き合うため、余計なものを全て排除することです。宿坊で過ごす時間を全て修行と捉えること(参籠)を概念とする当寺においては、テレビや自動販売機、趣向品等は一切なく、修行の場所としての寺院であるように心がけています。社会情勢が不安定な昨今では、寺院に救いを求める方も増えていますので、僧侶として、利用者が自身を見つめ直せる場所を提供できれば幸いです。そういった面では、聖地としての身延山の荘厳さと、当寺の静かな佇まいは最適な環境かもしれません。

端場坊様インタビュー
昨今の不安定な社会の中で、宿坊の利用者にはどのような変化がありましたか?

日蓮宗の総本山ということもあり、身延山の宿坊は江戸時代の講中による参詣に始まり、寺院等による団体でのご宿泊がメインでした。近年では、参拝に訪れる檀信徒様だけではなく、観光ツアーや海外から訪れる方も増えましたし、学生のオリエンテーションでご利用いただくこともあります。時代が変遷し、利用目的が多様化しても団体利用の傾向は変わりませんでしたが、コロナ禍に突入し、状況が一変しました。「寺ワーク」を目的にワーケーション利用をされる方や、転機を求める方、修行体験を通して心を整えたい方など、個人あるいは少人数でご利用いただく機会が目立つようになりました。特にネット予約を開始してからは、お寺で過ごすことが目的で、久遠寺へ参拝せずにお帰りになろうとするケースも多々あり、これまで身延山ありきだった宿坊としては驚くことばかりです。

僧侶として非日常な体験を提供し、住職として身延山のファンづくりに邁進する。

久遠寺への参拝が前提にないとは驚きですね。多様化するニーズのなかで、住職として心がけていらっしゃることはありますか?

救いの声を拾い上げることが寺院の役割の一つであるため、一般的な僧侶のイメージを守りつつ、宿泊者が肩肘張らずにリラックスしてお過ごしいただけるよう心がけています。私は以前まで外勤めが多く、宿坊にいる間も食事や宴席の準備に追われてばかりで、ご宿泊者様に僧侶として向き合う時間をあまり確保できませんでした。団参旅行が主であった頃は、それでも何とかなっていたかもしれませんが、利用目的が多様化している昨今のニーズを満たすためには、住職である私が表立って訪れる方々を迎え入れる必要があると考えています。幸いにもここ数年で落ち着いた私自身の状況と、昨今の少人数利用の傾向が重なり、現在はご宿泊者様一人ひとりと落ち着いて向き合えるようになりました。一般の方にとっては、寺院で過ごす時間は非日常そのものです。当寺にご滞在される際には、日常生活の一切の物事から離れ、心の豊かさや生き方を見つめ直す時間をお過ごしいただきたく思います。

端場坊様インタビュー
さまざまな非日常体験をご提供されているとのことですが、貴院ではどのような過ごし方がおすすめですか?

仏道修行には、衣食住への執着を取り払う「頭陀行(ずだぎょう)」と呼ばれるものがあります。ご宿泊の際には作務衣を着用していただき、精進料理を食し、質素な客間でお過ごしいただくなど、当寺に滞在される時間は全て修行です。さらには勤行や水行等体験修行はもちろんのこと、久遠寺での朝の勤行や山内の案内も承っております。特に久遠寺の朝の勤行こそが身延山の一番の醍醐味ですので、清々しい霊気と、大勢の僧侶が読経する迫力をぜひ体感していただきたいです。また、宿坊ごとに趣や設えが異なりますので、色々な宿坊を巡られてみるのもおすすめです。750年の歴史の深さや、都会では見られない豊かな自然環境など、隅々まで魅力を味わい、身延山のファンになっていただけますと幸いです。

今後もさらに歴史を重ねていくなかで、当代の住職として実現したいことはありますか?

おかげさまで、端場坊の住職は、私で第50世という節目を迎えました。現実的には、次の代に縁を繋げ、歴史を紡ぐことが先決ですが、現役の間に今後100世に至るまでの礎を築きたいと考えています。これからも時代に沿った形で在り続けることはもちろんですが、馴染んできた現在のスタイルも大切に守りながら、多様化するニーズに応えていきたいです。

マニュアルズへひと言

日蓮宗 身延山 収玄院端場坊 第50世住職 林是乾 様

当寺の利用者層が拡大した要因には、時代背景もありますが、その動きを加速させるきっかけとなったのは、紛れもなくホームページです。繰り返しになりますが、身延山や久遠寺の存在を知らずに当寺を訪れるケースは、ホームページの存在なくしては考えられません。以前までは、電話予約1本の状況でしたが、今やホームページが宿泊の柱となっており、まさに現代における布教には欠かせないツールであると考えています。また、これまで寺院のホームページには、難しい情報が多く、見にくいイメージを持っていました。ところが、今回マニュアルズさんに制作していただいたホームページは、誰が見てもわかりやすいよう情報がシンプルにまとまっており、同業者からも大好評です。制作にあたり、何度も当寺へ足を運んでくださいましたが、私の対応が遅くなってしまった際にも、根気強くご対応していただき大変感謝しております。

日蓮宗 身延山 収玄院端場坊 第50世住職 林是乾 様
ありがとうございました!

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