「五感」を大切に「共に生きる力」を育む。
地域に根差した福祉の充実の実現
社会福祉法人 山の都福祉会
理事長
逸村一徳 様
2002年(平成14年)3月の法人認可以降、山梨県内(主に峡東地域)で障がい児・障がい者施設、高齢者施設を運営。「五感にしなやかに対応し、完成豊かな環境づくりを通し共に生きる力を育む」を基本理念に、地域福祉の充実と発展を目指す。
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〒405-0033 山梨県山梨市落合3-2(法人本部)
【TEL】0553-20-7778
きっかけは「地域のニーズ」。真摯な対応で地道に事業を拡大。
Q.峡東地域を中心に幅広く福祉施設を運営されていますが、 法人の歴史や事業内容を詳しく教えてください。
私たちは、大きく分けて二種類の事業を展開しています。ひとつは、障がい者・障がい児の支援事業、もうひとつは高齢者の支援事業です。現在は、障がい者・障がい児を対象とした施設が山梨市、甲州市、大月市に7つあります。そして、高齢者を対象とした施設が大月市に2つあります。(2024年9月時点)法人の設立は2002年(平成14年)です。当時、峡東地域には身体に障がいを持つ人を支援する施設がなく、地元の声に応えるかたちで「スカイコート勝沼」を立ち上げことが事業のはじまりです。施設運営をはじめると、更に多様なニーズがあることがわかりました。具体的には「うちの市にも施設が欲しい」や「子どもを対象とした施設を作って欲しい」というものです。そのニーズに応えて施設を増やしていった、という流れですね。
Q.社会の変化に寄り添って事業を続けられているように感じますが、 施設を運営するなかで大切にしていることはありますか?
まずは、社会のニーズ、地域のニーズを正確に把握することです。どのような人が、どのような悩みを抱えているのか、どうすればその悩みを解決するお手伝いができるのか、冷静に、正確にその内容を受け取ることを大切にしています。そして、職員との情報共有です。利用者についての情報共有はもちろん、各施設の幹部となる職員には定期的にヒアリングを行なって、経営状況について常に情報を共有できるように努めています。コロナ禍でもオンラインで定期的にヒアリングを行うことで、情報共有の習慣がついたと思います。そして、人材の確保も重要です。介護職員を確保することはとても難しいのですが、私たちの法人では、日本で働きたいという思いを持って海外から来ているスタッフも活躍してくれています。介護に関する専門的な知識や技術がなくても、仕事をするなかで先輩スタッフが丁寧に指導をしているので、職員同士が切磋琢磨し利用者と良い関係を築けていると思います。
教員からの転身。独自の理論で困難を突破。
Q.逸村さんは、どのようなきっかけで福祉の道を志したのでしょうか?
実は、私は元々教員なんです。山梨県内の私立高校で、30年以上理科の教員として働いていました。地元である峡東地域に、身体に障がいを持つ方の施設が欲しいというニーズを聞いたことが具体的な転機だったのですが、振り返ると教員生活のなかでも福祉の魅力を感じていました。ちょうど昭和50年頃にボランティア活動が全国的に広がり、私が勤務していた学校でも生徒たちがボランティア活動に取り組んでいました。その時に、生徒たちの表情がキラキラと輝いていたことがとても印象的でした。誰かの役に立つということが、人間としての喜びであるということを生徒たちから学んだような気がします。
Q.福祉とは全く異なる分野からのスタートで、ご苦労や不安はありませんでしたか?
確かに、50代後半で方向転換をしましたから「度胸があるね」と言っていただくことは多いです。もちろん大きな挑戦だったので、しっかり情報収集をして臨みました。私は子どもの頃腕白で、木登りが得意で、その木登りから得たことがあります。それは「3点がしっかりしていれば絶対に木から落ちることはない」ということです。木登りをするとき、両手・両足の4点で体を支えて登っていきますよね。でも、どこか1点が木から離れてしまっても落ちることは無いのです。3点がしっかりしていれば落ちない。これは事業も同じで、3つ「大丈夫」と確信できる要素があれば、失敗する事はないと思っています。私の場合は、「土地」があり、「人脈」があり、「アドバイザー」に恵まれた。全く専門ではない分野への挑戦でしたが、友人や、教員時代の交流のなかで、福祉の専門家とつながることができたので、わからないことがあれば相談に乗ってもらい力になってくれたことが大きいです。
個性を受け入れ、共に生きる社会の実現に向けてサポートを続ける。
Q.情報収集を大切にされてきた逸村さんですが、 今感じている福祉へのニーズや課題はどのようなものですか?
今、福祉に関するニーズはとても多様です。年齢や、その人が持つ障がいの特徴に沿ったきめ細かなケアが求められていると思います。そして、課題は人材確保ですね。少子化に伴い、働き手の数が減っているなかで、福祉の現場で働いてくれる人材を確保して、今いるスタッフとともにスキルを磨いていくことが、今後法人を運営していくなかでとても重要だと思っています。「力の大きさ・方向によって決まる量」を表す「ベクトル」という言葉がありますが、スタッフについては、このベクトルの考え方がとても重要だと思っています。最初は、ひとりひとり小さな力しか持っていなくても、スタッフ間で切磋琢磨し、幹部がしっかりとサポートすることで、同じ方向に向けて力を出し合えば、必ず大きな力になります。人材確保は大きな課題ですが、志をもって福祉の世界に飛び込んでくれる人を大切にしていきたいと思っています。
Q.逸村さんが今後実現したい目標などはありますか?
今、「インクルージョン」という考え方がとても大切にされています。「インクルージョン」というのは、「障がいの有無に関わらず、個々の特性を受け入れて共に生きていくことができる社会を目指す」という理念です。障がいがあっても、ひとりひとりが自立し、社会参加できるようにしっかりとサポートを続けていきたいです。また、高齢者福祉についても、社会全体でお年寄りを支えられるように施設運営を通して「インクルージョン」に貢献できればと思っています。
マニュアルズへひと言
情報化の時代に沿って、情報発信の重要性を感じ、ホームページの制作を依頼しました。地域の方や、福祉に興味を持ってくださる方、サポートを必要としている方に向けて、私たちの法人がどのような取り組みをしているのか、わかりやすく発信したいという思いがありました。また、ホームページを作ることで、職員の「意識づけ」にも繋がったと実感しています。日常の業務のなかで忘れがちな、法人の理念や目指す方向をホームページで示すことでいつでも共有できるので、ホームページを持ってよかったと感じています。はつらつとした明るいデザインも大変気に入っています。ポスターも同じイメージで作っていただき、若い人たちにも興味を持っていただけていると思います。ありがとうございました。
山の都福祉会 逸村様
ありがとうございました!